資本政策について

1 資本政策の基本方針

当社は、「大林グループ中期経営計画2022」において、「事業基盤の強化と変革の実践」に取り組むとともに、資本効率性を重視した経営を推進するため、経営指標目標として「投下資本利益率(ROIC)を中期的に5%以上とする」ことを掲げています。

 

この目標の達成に向けて、従来どおり各事業の持続的な利益成長を図りつつ、投下資本をコントロールするとともに、資本効率性をより一層重視した資本構成(レバレッジの活用を含む)を検討したうえで必要となる自己資本の水準を1兆円と設定し、戦略的な株主還元を行うことで、「大林グループ中期経営計画2022」の最終年度である2026年度(2027年3月期)までに「自己資本当期純利益率(ROE)10%の達成」を目指すこととし、2024年5月13日付「大林グループ中期経営計画2022 追補」にて、経営指標目標の一部を以下のとおり変更しています。

2 投資計画

当社グループでは企業価値向上を目的として、将来に向けた人材、デジタル、技術への投資や成長投資を行っています。「大林グループ中期経営計画2022」期間中の5年間の投資計画については、追補にて以下のとおり基盤強化のための投資増に加えM&A等の事業ポートフォリオ拡充に向けた成長投資の増額を行うとともに、キャッシュアロケーションについても見直しました。

3 資本効率性をより一層重視した具体的な方策

当社では、従来から、株主資本コスト及び加重平均資本コスト(WACC)をCAPM式により算定し、社内の投資判断や管理会計制度に活用しております。CAPM式による当社の株主資本コストは5~7%の水準、WACCは4%前後の水準と認識しており、また、過去のROEとPBRの推移を数年にわたって検証した結果、株式市場が要求する株主資本コストは8~9%程度と推計しております。


ROICについてはWACCを上回る5%以上を、ROEについては株主資本コストを上回る10%以上を目標値として、資本効率性をより一層重視した具体的な方策に取り組むことが必要であると認識しています。

以下に掲げる「成長戦略の実行による持続的な利益成長」及び「必要自己資本額の設定と戦略的な株主還元」の方策を推進することにより、ROIC5%及びROE10%の達成を目指します。

(1)成長戦略の実行による持続的な利益成長

  • 建設市場の担い手減少が見込まれる中で安全と品質を最優先に建設業の社会的使命を果たし続けるため、人材・DX・技術への投資や生産力拡充のための投資をさらに強化し、持続可能な利益を創出
  • カーボンニュートラルやウェルビーイングを中心とした社会課題解決に資する分野や成長が期待される分野において、当社グループが競争優位を確立できる領域を事業毎に特定したうえで、機会を捉えた成長投資を積極的に実行し、利益を拡大

(2)必要自己資本額の設定と戦略的な株主還元

  • 建設事業及び関連する当社グループの事業の成長に合わせ、事業毎の投下資本を設定し、各事業の資本構成(レバレッジの活用を含む)を検討したうえで自己資本の必要額を設定
  • 必要な投下資本及び自己資本は事業規模等に合わせて適宜見直し、取締役会において各事業の資本構成やバランスシートを資本効率性の観点から評価
  • 「大林グループ中期経営計画2022」期間中の必要となる自己資本の水準を1兆円と設定し、戦略的な株主還元を実施
  • 普通配当については、長期安定配当の維持を第一に、「大林グループ中期経営計画2022」に定める配当の目安を「自己資本配当率(DOE)3%程度」から「5%程度」に引き上げ、2024年3月期から適用(増配)
  • 普通配当に加え、特別配当や自己株式取得などの手法により、必要自己資本額と利益の状況に応じて株主還元を機動的に実施(当社グループの収益力や財務状況、PBR等を勘案して総合的に判断)
  • 利益水準の中長期的な改善傾向に合わせてDOEの目安は見直し

なお、成長戦略や事業ポートフォリオに関する考え方、ESGへの取組みの状況等についてステークホルダーに情報提供し、エンゲージメントの向上を図ることで、株主資本コストの低減にも取り組む所存です。

以 上